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作成: 2024-01-22
作成: 2024-01-22 14:30
一般的に「キリン」といえば、オレンジ色のまだら模様を思い浮かべますよね。しかし、頭からつま先まで白いキリンがいることをご存知でしたか?
Hirola Conservancy
実は、白いキリンという種類が別に存在するわけではなく、遺伝性疾患によって生まれたキリンなのだそうです。目以外が色素の欠損によって白くなるルーシズム(白変種)というまれな遺伝性疾患によって、白いキリンが誕生したのです。白いキリンは、2020年までに地球上にわずか3頭しか存在せず、密猟者によって2頭が殺されてしまい、たった1頭しか残っていないそうです。ケニア野生生物管理局は、たった1頭しかいない白いキリンを守るため、角にGPSを取り付けて監視しています。
IUCN
しかし、絶滅の危機に瀕しているのは白いキリンだけではありませんでした。私たちが知っている一般的なキリンも、絶滅危惧種なのだそうです。
キリンは、国際自然保護連合によって絶滅危惧種に分類されています。絶滅危惧II類(VU)であるキリンは、野生において数か月から数年以内に高い絶滅の危険にさらされる可能性があるとされています。現在、世界中で約68,000頭のキリンが生息していますが、キリンの個体数は100年前と比較して90%以上減少したそうです。今もなお、キリンの個体数は減少しています。
IUCN
カメルーン、中央アフリカ共和国、エチオピア、モザンビーク、ケニア、タンザニアなどのアフリカ地域で広く生息していたキリンは、アフリカの一部の国ではすでに絶滅状態です。国連環境計画(UNEP)は、2020年にセネガル、ナイジェリア、ギニアなどアフリカ7カ国でキリンが絶滅したと発表しました。このままでは、キリンが残っている他の国々でも、今後キリンを見ることができなくなるかもしれません。
IUCN
キリンの絶滅危惧の原因の中で、最も大きな理由は生息地の減少です。広大な草原を駆け巡るキリンの生息地が、人間の開発や気候変動による環境破壊によって減少したのです。生息地の減少により、キリンは生活の場とともに餌も失うことになりました。背の高いキリンは、高い木の葉を食べて生活していますが、人間が草原を開墾して木を伐採したことで、キリンは餌を失いました。また、草原にフェンスを張り巡らせて農場を経営したりする活動も、キリンに影響を与えています。キリンは背が高いですが、フェンスを飛び越えることができず、生息地を求めて自由に動き回ることもできないそうです。たまに遠くまで行くキリンもいますが、人間が移動のために敷設した高速道路を渡ろうとして、車にひかれることもあります。
キリンの生息地が狭くなると、キリンは少数の個体で集まって暮らす必要があります。この状態での繁殖では、遺伝的に脆弱なキリンが生まれる可能性が高くなります。そうなると、キリンの遺伝的多様性が失われ、今後キリンが絶滅の危機から脱する確率がさらに低くなってしまいます。
人間の密猟活動も、キリンを脅かす要因の一つです。キリンは絶滅危惧種であるという認識が薄く、絶滅危惧種に指定されてからも日が浅いため、人々がその深刻さを理解せず、キリンを違法に捕獲する事例が多いそうです。アメリカでは、キリンの骨や皮革の取引が違法ではないため、キリンを狙う密猟者が多くいます。これを防ぐため、野生生物保護協会(WCS)は、キリンの絶滅危惧を理由に、キリンの違法取引を阻止する必要があると主張しました。
WWF
気候変動の影響で、キリンの生息地に大量の雨が降ることもありました。キリンが豪雨に遭うと、死亡率が高くなり危険です。やはり、雨が降ると、寄生虫などの様々な微生物が増え、キリンが病気にかかるリスクも高まります。また、雨が降って早く成長した植物は、それだけ栄養素が不足するため、キリンの栄養状態にも影響を与える可能性があります。逆に、気候変動による干ばつの増加も、キリンを悩ませる要因の一つだそうです。
WWF
このように、キリンが絶滅の危機に瀕している理由は複合的です。しかし、最も重要なのは、生息地が減少しているということです。キリンの生息地保護のために、環境団体とアフリカ諸国の政府が協力する必要があると思われます。
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