The Nature Conservancy Australia, photo by Sam West
この可愛い動物をご存知ですか?すでに「世界で最も幸せな動物」として有名なので、ご存知の方も多いかもしれません。オーストラリアに生息するクオッカです。クオッカは触るだけで罰金を科せられることで有名ですが、なぜクオッカに触るだけで罰金を科せられるのでしょうか?それは、クオッカが絶滅危惧種だからです。
IUCN
クオッカは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、危急種(VU)に指定されている絶滅危惧種です。危急種に分類される種は、数か月から数年以内に高い絶滅リスクにさらされるとされています。クオッカは現在、オーストラリアの西部地域に生息しており、約1万~1万2千頭が生息しているとされています。20世紀初頭には約100万頭のクオッカが生息していたと言われているのですが、約100年で個体数が100分の1に減少したのです。国際自然保護連合によると、現在もクオッカの個体数は減少傾向にあるそうです。
クオッカの個体数がこのように急速に減少した原因は何でしょうか?クオッカは主に森林や湿地などに生息していますが、人間の開発によってクオッカが生息できる生息地が大幅に減少したと言われています。生息地が減少すれば、クオッカの個体数は自然と減少せざるを得ません。また、クオッカの天敵であるアカギツネ、ディンゴ、ヨーロッパウサギなどの外来種がオーストラリアに侵入したことで、個体数が大幅に減少しました。さらに、クオッカが生息していた地域が気候変動によって乾燥化が進んだことも、クオッカの絶滅危惧の原因の一つです。
オーストラリア観光局、photo by James Fisher
クオッカは、オーストラリアのロットネスト島のマスコットでもあります。マスコットに選ばれたのは、クオッカ独特のかわいい笑顔が大きく貢献しているようです。この可愛い笑顔を守るため、オーストラリア政府は様々な取り組みを行っています。
まず、クオッカが生息するロットネスト島をクオッカ保護区に指定しています。2013年にはクオッカ回復計画を発表し、クオッカの個体数管理を行っています。前述したように、クオッカに触れる行為も法律で規制しています。
しかし、このような法的規制があるにもかかわらず、2015年にはクオッカを虐待する事件も発生しました。オーストラリアを訪れたフランス人観光客2人がクオッカに火をつけ、クオッカが火傷を負うという事件が発生したのです。オーストラリア政府は、彼らに4,000ドルの罰金を科しました。
オーストラリア観光局ウェブサイトキャプチャ、https://www.australia.com/en/things-to-do/wildlife/how-to-get-the-perfect-quokka-photo.html
オーストラリア観光局は、公式ホームページでクオッカに触らずにクオッカと写真を撮る方法6つを紹介しています。クオッカが葉っぱを食べている時間帯や夕暮れ時を狙う、または静かにじっと目を大きく開けて待つ方法などがあるそうです。しかし、常に注意すべきなのは、クオッカは絶滅危惧種であり、保護されるべき存在だということです。クオッカに遭遇した際は、この事実を常に念頭に置き、常に注意することが重要です。くれぐれもご注意ください。