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- #絶滅危惧動物
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作成: 2024-02-07
作成: 2024-02-07 15:58
「ライスクジラ」という名前を聞いたことがありますか?名前が付けられてからまだ3年ほどしか経っておらず、この名前を知らない方も多いかもしれません。ライスクジラは、以前はイワシクジラの亜種として分類されていましたが、2021年に米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)の研究により、「ライスクジラ」という新しい種として生まれ変わりました。
IUCN
体長は約13メートル、体重は約27トンにも達するこのライスクジラは、残念ながら、新しい名前が付けられてから約1年で絶滅危惧種に分類されました。世界自然保護基金によると、ライスクジラの成体の現在の個体数は26頭と推定されています。2010年に発生したディープウォーター・ホライズン原油流出事故が、ライスクジラの個体数をこれほど少なくした原因だと専門家は考えています。
ナショナルジオグラフィックのYouTubeチャンネル「Deepwater Horizon In Their Own Words (Full Episode) | In Their Own Words」の動画キャプチャ
2010年4月20日、メキシコ湾で、ディープウォーター・ホライズンという石油掘削施設が爆発する事故が発生しました。エンジンの負荷により爆発し、消火活動が行われましたが、爆発から36時間後に海に沈没し、掘削パイプが横に倒れることで大量の原油が流出し続けました。4月に発生した事故でしたが、原油が流出している穴を完全に塞いだのは9月19日で、約5か月かかりました。その間、大量の原油が海に流出し、近くに住む海洋生物は大きな被害を受けることになりました。
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ライスクジラも、この事故で被害を受けた海洋生物の一つです。ライスクジラが生息するメキシコ湾は、まさにこの事故が発生した地域であるため、特に被害が大きかったのです。当時はライスクジラという名称が付けられる前だったため、正確な被害規模は不明ですが、専門家は、ディープウォーター・ホライズン事故により、ライスクジラの個体数は約22%減少したと推定しています。
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ライスクジラは、世界自然保護基金によって絶滅危惧IA類(CR)に指定されました。これは、今後絶滅する可能性が高いことを意味します。NOAAは、ライスクジラの絶滅を防ぐために、様々な取り組みを行っています。
NOAA
ライスクジラのような大型のクジラは、船舶と衝突する可能性が高いです。クジラは、呼吸をするために水面に上がらなければならないため、船舶と衝突してしまうのです。NOAAでは、大型船舶がクジラと衝突しないよう、船舶の速度制限、航路の変更などを推奨しています。また、超音波でコミュニケーションをとるクジラのコミュニケーションを妨げる海洋騒音問題も指摘しています。海洋騒音問題が深刻化すると、クジラのコミュニケーションが制限されるだけでなく、ストレスも引き起こされる可能性があるため、問題解決が急務です。NOAAでは、海洋哺乳類に影響を与える人為的な騒音を評価するためのガイドラインを改定しました。
さらに、危機に瀕している動物を救助したり、健康診断を行ったり、原因を研究するなどの取り組みも行っています。NOAAは、ライスクジラをはじめとする海洋生物の危険性について、一般の人々に知らせる教育の役割も担っています。
現在、わずか26頭しか残っていないライスクジラ。その名前を長く残せるといいですね。
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