夏になると、必ず公開される映画があります。海で休暇を楽しんでいた人々がサメに遭遇し、繰り広げられるスリラーを描いた映画です。 代表的なサメ映画「ジョーズ（JAWS）」をはじめ、「47メートル（47 Meters Down）」「メガロドン（The Meg）」など、近年でもサメから生き延びる映画はよく公開されています。

しかし、映画と現実とは違います。映画ではサメが人間を攻撃しますが、現実では人間がサメを攻撃しているという事実をご存知ですか？

ホホジロザメは、世界自然保護基金の絶滅危惧種リスト「Red List」に危急種（VU）として掲載されています。今後数年のうちに絶滅する可能性が高いことを意味しています。 世界的にホホジロザメの個体数は減少傾向にあると言われています。海の生態系の捕食者として知られるホホジロザメが、どのようにして絶滅危惧種になったのでしょうか？

実は、ホホジロザメが絶滅危惧種になったことには、映画がもたらした「最高位の捕食者」というイメージの影響が大きいです。 ホホジロザメ自体にネガティブなイメージがつき、人々がホホジロザメをスポーツフィッシングや貿易の対象と見なすようになり、乱獲が行われました。 ホホジロザメのヒレ、皮、顎、歯などを取引することも頻繁に行われています。映画「ジョーズ（JAWS）」の監督スティーブン・スピルバーグは、あるメディアとのインタビューで、「ジョーズ（JAWS）」のヒットによってサメの個体数が減少したことを後悔していると明かしました。 映画の中でサメが人を殺す対象として描かれたため、人々はサメを無差別に狩ることについて罪悪感を感じませんでした。実際には、人間がホホジロザメに襲われて死亡する確率は非常に低いと言われています。

その他、フカヒレ料理のためにサメのヒレだけを切り取る行為も問題になりました。人間の欲望によって動物が犠牲になる典型的な例でもあります。 このような悲劇を防ぐため、アメリカ・ニューヨークや中国など一部地域ではフカヒレ料理を廃止しました。

2022年には、中国のあるインフルエンサーがホホジロザメを料理して食べる動画を投稿し、物議を醸しました。 当該インフルエンサーは、結局約2270万円の罰金刑に処せられました。

サメの生息地にも変化が現れています。地球温暖化によって海水温が上昇したため、ホホジロザメが本来いない海に現れるケースも出てきました。 ホホジロザメは暖かい水温で生息しますが、海水温の上昇によって、元々ホホジロザメが現れなかった海に現れるようになったのです。 近年、日本の海水浴場でもホホジロザメがよく目撃されているそうです。

ホホジロザメだけでなく、他の種類のサメも絶滅の危機に瀕しています。 ツマジロ、ドチザメ、アオザメなど、約350種のサメが絶滅危惧種に指定されています。

サメの個体数減少を防ぐため、2023年には、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約（CITES）で、54種のサメの国際取引を禁止・制限しました。 これにより、加盟国はサメの取引を行うためには許可証を取得する必要があります。 これ以上、人間の欲望によって犠牲になるサメがなくなってほしいと思います。